GWに入った。
並盛中で1日停電するから今日は学校に来るなと言われ、雲雀は珍しく買い物に出た。
街中で制服だとやたらと目立つため、珍しく白いTシャツに薄い紫のシャツを羽織った。
買う物は決まっている。だから買ったらすぐに家に帰れば良いだけだ。
目当ての店は決まっている。
必要なモノを直ぐさま手に取りレジへ急いだ。
シャツを2枚。
先の争奪戦で服がぼろぼろになり、換えのモノまで無くなる有り様だった。時間がある時に買っておこうと思っていたから、この休みは丁度良かったのかも知れない。
日差しが少し強くなったと眩しげに空を見上げた。
ふと視線は反対車線の歩道に目がとまった。
賑やかに歩く群れの中、その金髪は背が高いため人目を引いた。
通り過ぎるたび、男も女も年寄りでさえ振り返る。
そのすぐ後ろには、黒い髭と他数人の黒服がついて歩いていた。
楽しそうに笑う草食動物たちの群れだ。
雲雀は見なかったことにして再び歩き始めようとした。
そう、忘れたのだから見つけても何とも思わない。
家庭教師も終わった。
その証拠に、日本に来ていても雲雀に何も連絡を寄越さなかった。
ズキン
あの痛みがまた再発した。
忘れていたはずの痛みが、あの太陽を見つけてしまったために疼き出したのだ。
胸を押さえるようにその場に立ち止まった時、
「恭弥っ!」
通りの向こうから大きな声で呼ばれた。
「雲雀さんっ!?」
沢田綱吉、その他大勢が見間違いかと目を大きく開き、こちらを見ていた。
そんな広くはない車道の向こう側。
距離にして言えば10メートルも離れてない。気づかないと思った雲雀の方が浅はかだった。
「あ、ほんとに雲雀だ!珍しい…私服じゃん!」
「なにっ…あの野郎が私服っ!?」
山本武がそれこそ大きな声で、手を振ってくる。
「おーい、雲雀っ!お前迎えに行くところだったんだぜ!」
「や、山本ッ…」
草食動物のおびえた声を背に、雲雀は振り返らず歩き出した。
「きょーやっ!」
人混みをかき分けるように、金髪の男が走り出す。
その声も無視して、いつもより早足で角を曲がった。
「恭弥っ、待てよっ!!」
「ディーノさんっ!」
跡をしつこく追ってくる声。
会いたくない。今は、会いたくない。
自分を呼ぶ声を聞いただけで、想いが溢れた。
胸の痛みさえ薄れた。
ダメだ。これ以上弱くなってしまいたくない。
あの人が居ない時間をこれからイヤと言う程味わうであることは分かっていた。
だからこそ、強いままの自分でいたいのだ。
だからこそ、強いままの自分でいたいのだ。
人を好きになって弱くなるのは、自分の心が弱いからだ。そう思っていた。
自分はそうならないと。
だがふたを開けてみたらどうだ?
まるで自分のことを言っているようだ。
「バカみたい。ほんと…呆れる」
嫌いな人混みに紛れ、気配を消してやり過ごすことにした。
制服じゃなくて正解だったと思う。
嫌いな人混みでも今の自分を隠してくれる。
なんであの群れが自分の事を探していたか何て知らない。
あの人がどうしてこちらに来ていたかも、興味がない。
あの人がどうしてこちらに来ていたかも、興味がない。
ただ…
自分の所に連絡が来なかったのが、不思議だった。
「ああ…草壁から連絡が無かったんだな」
そう言えば、GWに入る前から草壁が連絡を絶った。
不思議に思いつつも、彼にも家族が居ることを思い出した。
不思議に思いつつも、彼にも家族が居ることを思い出した。
GWともなれば、出かけるであろう。
自分と違い、一人ではないのだから。
手近の人影が少ないビルに体を滑り込ませた。
通りは人で溢れかえり、どの顔も太陽の光を浴びて輝いていた。
暖かい日差しを浴び、嬉しそうに腕を組むカップルや、子ども連れの家族。
母の日が近いからか、お年寄りを連れた人も目を引く。
そんな中ほっと一息つき、更に奥に足を進めようとした。
不意に腕を後ろから引かれる。
不意に腕を後ろから引かれる。
「恭弥っ…」
気配を消していたはずなのに。
「なっ…!?」
驚きに声すら止まり、捕まれた腕を振り払えなかった。
なんで?
逆光に目を細め、眩しすぎる金の髪の男を見上げた。
「会いたかった、恭弥」
荒い息の下、気が付けば甘い香りに抱きしめられていた。
続く
TVを見た勢いで、続きを書いてみました。
いやぁ~アニリボ10年後の雲雀は、美しいだけじゃなくて、男性らしさの強い輝きがありましたね。
紫のシャツがよく似合う♪
大声をだして騒ぎたかったのですが、下の子が前もって分かっていたので、逃げられてしまいました。
戦闘シーンも格好良かった。
原作では見れないあの素早い動き。
雲雀がどれほど強いのか、よく分かります。
γ兄も必死でしたよね。
いやーーー今日は幸せでしたよぉ~
ってことで、雲雀の恋心話の続きです。
5月と言えば雲雀の誕生日です。
その前に、山もーの誕生日もあった訳で。(確か
それを踏まえて書いた話。
この後ボンゴレファミリーとキャバッローネファミリーで何をやるかは、ご想像に任せます。
因みに明日は、母の日。
子どもに何も期待してねぇけど、寂しいような。
TVを見た勢いで、続きを書いてみました。
いやぁ~アニリボ10年後の雲雀は、美しいだけじゃなくて、男性らしさの強い輝きがありましたね。
紫のシャツがよく似合う♪
大声をだして騒ぎたかったのですが、下の子が前もって分かっていたので、逃げられてしまいました。

戦闘シーンも格好良かった。
原作では見れないあの素早い動き。
雲雀がどれほど強いのか、よく分かります。
γ兄も必死でしたよね。
いやーーー今日は幸せでしたよぉ~
ってことで、雲雀の恋心話の続きです。
5月と言えば雲雀の誕生日です。
その前に、山もーの誕生日もあった訳で。(確か
それを踏まえて書いた話。
この後ボンゴレファミリーとキャバッローネファミリーで何をやるかは、ご想像に任せます。
因みに明日は、母の日。
子どもに何も期待してねぇけど、寂しいような。
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好きだった。
ヒマワリ色のあの人を不思議な程にそう思った。
だから勝ったら告白しないまでも、素直になろうと思ってた。
あの人の言葉をちゃんと聞けるくらいになりたいと、そう思えた。
だけど、
「イタリアへ帰るよ」
いつものヘラヘラとした顔でそう告げてきた。その一言で、胸の奥にあった初めて芽生えた気持も何もかも消し飛んだ。
実らない想いはまるで、苦手だった淡いあの桜と同じだった。
この気持ちと一緒に桜が散る頃、終わりを告げた。
【遥か…】
指輪争奪戦が終わりを告げ、暫くすると何事もない日々が過ぎていく。
学校の校舎もあっという間に元に戻り、あんなことがあったとは誰も気づかなかった。
平凡な毎日。
アレは何だったのだろうと思う。
だが、手の内に残る指輪を見ると、現実だったのだと気づく。
最初の数日は、忘れようと必死だった。
太陽のようなあの人も、自分がボンゴレの守護者であることも。
夢であればいいと思っていた。
「イタリアへ帰るよ」
いらないと放り投げたはずの指輪をディーノは雲雀に差し出した。
それを受け取るのもイヤでまた「いらない」と突っ返したのだが、ディーノはそれを雲雀の掌に握らせるとその手を包み込み言ったのだ。
「家庭教師はコレで終わりだ」
雲雀の心を知っているかのような間合いで、ディーノは言葉を綴る。
「また会うこともあるだろうけど、元気でな」
応接室に突然やってきて、そして去る時も突然だった。
僕はどうすればいいの?
勝ってそれでこの後は?
突然離された手を握ることが出来なかった。
あまりにも高いプライドが、群れを成すのが嫌いな自分が、ずっと拒み続けてきたのに何故あの姿だけを忘れられない。
応接室に茜色の光が差し込む。
手にしていたモノを閉じると、棚にそれを戻した。
干渉に浸ってしまったのはこの空の色のせい。
金色の太陽が、これでもかとその光を自分に見せつけるから、忘れたはずの小さな恋心が頭をもたげた。
ちりりと感じた事のない痛みを覚えた。
「…なに、これ?」
胸を押さえる。
殴られても何をしても痛みを感じたことがなかった。自分はもしかしたらロボットなのかも知れないと思った程。
だけど初めて感じたその痛みは、何よりも強かった。
この光を見るたびこの痛みが自分を襲うのだろうか?
自分はあの人に何もかも壊されてしまった。
雲の守護者の指輪を押しつけ立ち去った男によって。
ガシャーンッ!
窓ガラスをたたき割ったその手は確かに痛みを感じる。
だけど胸の痛みを消すことは出来ず、胸の中の空虚も埋まらない。
ただ飛び散ったガラスを、雲雀は見つめるだけだった。
続く
雲雀が恋を知ったら一途なんだろうな。
そう思って出来たお話し。
丁度聴いていた曲に、ピッタリと二人の想いが噛み合った曲が、
【遥花~はるか】Melody。
雲雀はディーノを好きになったら、彼の罪も全部許して受け止める。
そう思ったら、文章をバスの中で携帯に打ってました。
雲雀は恋も愛も知らない子どもだけど、一途な子だと思います。
プライドは高いけど、素直になったらそりゃぁもう・・・
でも素直になれないし、自分を崩すことが出来ない。
意地っ張りで怖いモノなんてない。
孤独も感じない。
そんな雲雀が恋をしたら…・その相手が、遠い国の人で自分の家庭教師で。
その手は雲雀よりも血に汚れていて、この先もずっと泥沼の道を歩く人。
手を血に染めることを嫌がって居た人。
手を血で染めることを厭わない人。
そんな二人が・・・
ってそれだけでご飯3んばいいけます!
暫く私の妄想劇にお付き合いを。